天風会が主催する夏期修練会において、その教程の一つである「安定打坐法」を行修する際、天風が真理瞑想として人間の本質を説き明かした真理の言葉を、19編収録したものである。「今日一日 怒らず 怖れず 悲しまず」で始まる「誓詞」を始めとして、「私は力だ。力の結晶だ」で始まる「力の誦句」など、心を鼓舞され、また虚心平気の心境に導かれる中村天風による命の言葉。

     誓詞

 

今日一日
怒らず 怖れず 悲しまず
正直 親切 愉快に
力と 勇気と 信念とをもって
自己の人生に対する責務を果たし
恒に平和と愛とを失わざる
立派な人間として生きることを
自分自身の厳かな誓いとする。

朝旦偈辞(甦えりの誦句)

吾は今 力と勇気と信念とをもって甦えり、
新しき元気をもって、正しい人間としての本領の発揮と、
その本分の実践に向わんとするのである。
吾はまた 吾が日々の仕事に、溢るる熱誠をもって赴(おもむ)く。
吾はまた 欣びと感謝に満たされて進み行かん。
一切の希望 一切の目的は、厳粛に正しいものをもって
標準として定めよう。
そして 恒に明るく朗かに統一道を実践し、
ひたむきに 人の世のために役だつ自己を
完成することに 努力しよう。


                  力の踊句 (ちからのしょうく)

      私は力だ!     力の結晶だ!

      何ものにも打克つ力の結晶だ!

       だから何ものにも負けないのだ!

       病にも、運命にも、  否、
     
      あらゆるすべてのものに打克つ力だ!

       そうだ!強い強い力の結晶だ!

(一念不動の誦句 中村天風師)

「私は私の求むる処のものを、最も正しい事柄の中に定めよう。

 そしてそれをどんなことがあっても、動かざること山の如き磐石の信念と、

 脈々として流れ尽きざる、あの長い川のごとく、

 一貫不断の熱烈なる誠をもって、その事柄の実現するまで、

 些かも変更することなしに、日々、刻々、ハッキリと、

 心の中に怠りなく連想して行こう。丁度、客観的に看察するがごとくに……。

 私は最早 消極的の思想や観念や又は暗示に感じない。

 また、そうしたものは、私を動かすことは出来ない。

 私は断然そうしたものより、より以上のものである。

 私は最早 あらゆる人生の中の 弱さと小ささとを踏み越えている。

 そして 私の心は今絶対に積極である。

 おおそうだ、私の心は勇気と信念とで満ち満ちて居る。

 従って私の考え、私の言葉、それは何れも颯爽として、いつも正義である。

 だから 私には、人生のあらゆる場面に奮闘し得る強い強い力が溢れて居るのだ。

 そして私の人生はどんな人の世の荒波に脅かされても、

 あの大岩の上に屹然として立つ燈台のように、

 平静と、沈着と、平和と、光明とに、輝き閃いているのだ。」

                     
              (一念不動の誦句 中村天風師)

思考作用の誦句  
 吾は今 宇宙霊の中に居る。
 吾は又 霊智の力と倶に居る。  
そもそも宇宙霊なるものこそは、万物の一切をよ  り良く作り更えることに、
常に公平なる態度を  採る。  
そして 人間の正しい心 勇気ある心 明るい心  朗らかな心という積極的の
心持で思考した事柄に  のみ、
その建設的なる全能の力を注ぎかける。
然  り而して、かくの如くにしてその力を受け入れし  ものこそは、
またまさしく力そのものになり得る  のである。

入聖開悟の誦句

  吾は今 わが心の中に、この世のすべてのもの
を正しく理解し得る、偉大なる「光り」あるもの
が宿り居ることを 厳かに信ずる。

 この「光り」こそは この世に在る唯《ただ》
一つの絶対たる宇宙霊が、わが霊魂の中に与え給
いし慈悲の雫《しづく》である。

 又この「光り」こそは わが命と宇宙霊とを、
確実に結びつくるくろがねの鎖である。と同時に
更に真理の扉を開く秘密の符牒を知る金《きん》
鍵《けん》である。

 そもやこの「光り」が、わが心の中に燦然とし
て輝かば、尊しや 宇宙霊は 世の人々のいう「神
の啓示」なるものを、量多くわれに与えたまう。

 そして その能わざるなきの力を以て、迷いに
眩《くら》むわれ等の心の眼《まなこ》を正しく開
かせたもう。

 さらば 吾は今 この厳そかなる法則を、虔《つつま》し
やかに行わんがために、心の歩みを 宇宙霊に従
わせて、ひたすらに真と善と美のみの上に運ばせ
よう。常に入聖指南の「弁《べん》別《 べつ》」の笞
《しもと》を手にして・・・・

  そしてひたむきに この「光り」の発現に努めよう。

 さすればこの妙なる「光り」は、やがてわが心
の中に美しき悟りの花を咲かせ、その稔《みの》りを豊か
にして、わが命は 常に おののく如き歓びに満
たされん。

神人瞑合

  本項は「積極性と人生」に引き続き「神人瞑合」のテープを聞き返してみま
したので心に残ったことをお伝えさせていただきます。

  それでははじまり、はじまり。

(1)神・仏の概念
  神・仏は人格でもなければ、物質でもない。

  宇宙の根本主体のことを神・仏という。

  宇宙の根本主体というのは、永遠の生命を有する造物主。決して滅びること
のない生命を持った造物主。この世を作った創り主。

  人格ではない。科学的に言うと、定数h。

  人間、植物、鉱物もすべて、定数hからできている。昔から大自然というが、
大自然が永遠の生命を有する造物主。それが、神・仏。

  だから神・仏は、宇宙に遍満存在している。

  大自然の持つ力を専門の用語で言うとVril(神秘の力)という。

  大自然の力は人間の理性では判断のできない重要な力があるから、神秘の力
と名付けている。

  天風哲学ではそれを宇宙霊と読んでいる。

(2)神人瞑合の目的
  大自然の持つ神秘の力を十分に自分のものとして、人間の心の働きを超得
(ちょうとく)的に向上して、自己の人生を万物の霊長として、いかんなく確
保しようというのが神人瞑合の目的である。

  宇宙霊は人間の心にしたがって極めて巧妙に。相対的に働いている。

  例を挙げて言うと、悪を思えば、悪が来る。善を思えば善がくる。弱く思え
ば弱くなる。強く思えば強くなる。儲からないと思えば儲からない。儲かると
思えば儲かる。

  この宇宙法則を厳密に応用すれば、神人瞑合は簡単にできる。

  この法則をこれから教える方法で応用すると人間の最高本能が呼びさまされ
て、同時に宇宙の根本主体である、見えざる気体の中にある神秘の力を分量多
く自分の生命の中に受け取れることになる。

  こういうことを知って実行応用する者は知らずに生きているものよりも幸福
の量が天と地ほど違う。

  神人瞑合まで持って行くには心の使い方の切り替えをしなければいけない。
心を断然、積極的にしなければならない。

(3)積極的とは
  積極的、言いやすく行い難し。

  積極とは、どんな場合にも尊く、正しく、強く、清い状況であること。

  積極的であるためには、雑念・妄念を心に持たないようにすれば良い。雑念・
妄念は神人瞑合を直接妨げる一大障害。

  雑念・妄念がなければ、人間と宇宙霊が結びつくようにできている。

  雑念・妄念が出ていなければ、霊性意識が出る。
  霊性意識とは本心・良心のこと。人にすまないことをしたり、道にそむいた
ことをすると何となしに気が咎めるのは本心・良心。

  昔の人は、難行苦行をしなければ雑念・妄念が取れないと思っていた。
いまもそう思っている人がいる。そんなことをしなくても、雑念・妄念は取れ
る。

(4)神人瞑合実習
  それではやってみよう。

  ブーーー(★ブザーの音)

★これは天風哲学の最高密法「安定打坐法」のブザーの音です

(編集後記)
  神人瞑合の実習は感覚でとらえるものですので、文章にするのはなかなか難
しいものだと思いました。